転院援助における診療情提供書共通書式への試み
〜ソーシャルワーカー連絡会の活動報告から〜

倉橋慎太郎(鶴巻温泉病院)、川崎弘子(伊勢原協同病院)、田代志津子(茅ヶ崎新北陵病院)
内田敦子(東海大学病院)、谷亀光則(東海大学病院)


【目的】
 大学病院や急性期病院ではDPC導入が進み在院日数は短縮し、患者は入院早期から転帰先について病院から提示される。医療療養型病院では医療区分・ADL区分による入院患者の評価が導入され、入退院に係わる援助業務はますます複雑になっている。そのような中で患者が安心できる療養環境を選択・決定し、継続した療養ができるためにソーシャルワーカー(以下SW)による援助がこれまでにも増して必要となっている。つまり「患者の情報」をいかにスムーズに送り手の病院から受けての病院へ送るか、が課題となる。
 そこで今回、東海大学病院を中心に神奈川県中西部の約30病院に所属するSWが定期的に連絡会(後に名称を「神奈川中西部病院MSW連絡会」となる)を実施し、病院間のソーシャルワーク援助の継続を目標に活動を行ったので報告する。

【方法】
 連絡会において、リハビリテーション病院や療養型病院など受け手側の病院が必要とする情報や、急性期病院などの送り手側の病院が行う情報提供にかかわる問題点などを検討した。同時に各SWが自己の病院に持ち帰り、医師や看護師等にとっても必要な情報を収集した。

【結果】
 まず、SWの情報もさることながら、患者転院において、非常に重要なはずである患者の医療・看護の情報提供(収集)において問題があることがわかった。例えば、送り手側が作成する診療情報提供書の中に、受け手側では知りたい情報が網羅されておらず、受け手側のSWが送り手側のSWに何度も確認するために非常に時間と手間がかかる。また、送り手側では、受け手側の病院ごとに診療情報提供書等の書式が違い、医師・看護師に対し複数の書類に同様の内容を記載するように依頼しているなど、非常に効率の悪い状態であることが認められた。
 SW間の情報伝達を効率的、かつ患者の身体的な情報を共通の視点で患者の転院に伴い次の病院に伝えていくためには、共通の診療情報提供書を作成が急務であると話し合われ、実際に作成することができた。また会のホームページ(http://msw2.net)を作成し、共通診療情報提供書をダウンロードできるように工夫した。

【結論】
 共通診療情報提供書の運用についてはまだ試行段階であるが、各々のSWがそれぞれの所属機関に働きかけ使用される範囲を拡大させている。
 連絡会に参加するSWは所属機関の代表としてその代弁をする立場と、地域のSWとして各機関に働きかける立場を併せ持つ。この2つの立場を活用し、医療の共通言語になる診療情報提供書をSWが協働で作成することは、SWの活動を伝えるために有益であった。またSWが協働することでお互いの病院の役割を知る機会になり、連携を強化する一助となった。
 今後の課題として、診療情報と同様の視点で、SWの情報を患者の流れの中で共有できる仕組みについて検討をしていきたい。

キーワード:退院日数短縮、ソーシャルワーカー連絡会、共通診療情報提供書